俺には勉強しかない

140字のその先

私たちは1日に2600回以上スマホを触る。スマホ依存にまつわるデータあれこれ(読書メモ:『スマホ脳』)

『テクノロジーのできることを利用しなさい。 何ができるかを学びなさい。 でも同時に、それが 「私たちに何を行っているか?」を問いなさい。 私たちはゆっくり適切なバランスを見つけ出すだろう。だが、それにはかなり時間がかかるだろう。』

———シェリー・タークル

スマホ脳』を読了した。


在宅勤務の場合、オフィスへ出勤する時以上にスマホを触る欲求を我慢する必要がある。
たとえ業務中にTwitterを見ていようが、誰もそれを咎めることが出来ないからだ。

実際、自分は業務中もついスマホをいじっちゃう時が結構ある。
流石に仕事中はスマホとかネットから離れたいなと前から思っていた。

スマホを触る欲求を封じるためには、まずはスマホの危険性について知ることが有効だと思って、この本を読み始めた。


この本の結論は1ページ目に書いてある通り「人間の脳はスマホに適応していない」ということだ。
スマホによって脳が変形する」という内容ではなかった。

人は何故スマホに夢中になるのか、スマホは人間にどのような影響を及ぼすのか、
スマホの悪影響から逃れるためにはどうすればいいのか、 について分かりやすく書かれており、読む価値がある本だと思った。
個人的には、これに併せて「男子劣化社会」を読むことも勧めたい。
そうすると、スマホとネット、それぞれは与える悪影響について理解が深まると思う。

doordonts.hatenadiary.com


感想はここまでで、内容についてだが、要約や解説が必要なほどこの本のテーマは難しくない。

スマホに依存性があり、スマホを使っている時の自分が碌でもないことくらい、
わざわざスタンフォード大の研究結果を読まずとも、我々は経験から知り尽くしているからだ。


それでも、この本に出てくるスマホや、スマホ依存に関するデータは衝撃だった。
今回はそれらのデータをいくつか紹介したいと思う。
これを見るだけでも、スマホが我々に与えるインパクトの大きさが分かると思う。

スマホ

  • 大人は1日に平均4時間をスマホに費やしている。
  • 私たちは1日に2600回以上スマホを触り、平均して10分に一度スマホを手に取っている。
  • ブルーライトが脳を目覚めさせ、メラトニンの分泌を抑えるだけでなく、分泌を2~3時間遅らせる。

SNS

  • インターネット上のページの5分の1に、私たちは時間にして4秒以下しか留まっていない。
  • 1日30分SNSをやると、現在の20歳が80歳になる頃には、人生の5年間をSNSに費やす計算になる
  • SNS上で積極的に交流するユーザは9%。ほとんどはROM専
  • フェイクニュースは正確なニュースより6倍早く拡散される

脳機能編

  • 成人なら総消費エネルギーの2割、 10代なら約3割、新生児なら5割が脳に使われてる。
  • 睡眠中、昼間壊れたタンパク質が老廃物としてから除去される。 この老廃物は1日に何グラムにもなり、1年間で脳と同じ重さの「ゴミ」が捨てられる。
  • 1日6時間以下の睡眠が10日続くと、24時間起きていたのと同じくらい集中力が低下する。
  • 前頭葉は、25~30歳になるまで完全には発達しない。
  • ドーパミンシステムの活動は生きている間に減少していき、10年で約1割減る。

先史時代編

  • 全人口の半数は10歳を迎えずに死ぬ。
  • 当時の平均寿命は30歳足らずだった。
  • 狩猟採集民のうち10~15%が、原始的な農社会では5人に1人が、別の人間に殺されていた。

終わりに

「一生のうち何割の時間を液晶を見て過ごすのだろうか」とは自分もよく考える。
可能であれば、無駄なデジタル機器の利用は避けたいなと思ってる。

一番健康的に過ごす方法は、この本に書いてある通り、
よく寝て、運動して、社会参加して、スマホの使用を制限することだろう。

それが難しいとすれば、それこそ我々がスマホに依存してしまっているからだと思った。


スマホ脳(新潮新書)