SF小説を読んだことが無い人にこそ読んでほしい『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読了した。
結論を先に言うと、この本は最高で、徹夜で上下巻ともに一気読みしてしまった。
ページを読み進める手が止まらなくて、最後の3章は涙でグチャグチャになった。
まず前提として、私はSF小説に興味はなかった。
そして、仕事や勉強じゃない場面で、数式とか化学式を見たくないほどの文系でもある。
そもそも小説自体読む習慣が無い。
この本もKindleポイント還元セールをやっている時に、なんか目についたから何となく買っただけだ。
それでもこの本は最初の1ページを読んだ時点でワクワクが止まらず、
物語の随所で出てくる宇宙や化学についての蘊蓄もとても楽しめた。
それと同時に、あらすじや感想をおいそれと書けない本でもある。
全てのページが驚きと興奮で満ちているので、私の稚拙な文章で
それらを台無しにしたくないと思ってしまうのだ。
なので、この本について他者に勧める際は「この本は最高だ」「とにかく読んでくれ」としか言えない。
実際、SFにも小説にも興味がない人にこの本を読んでもらうのは困難だと思う。
表紙があまりにも面白味がなく、タイトルも無骨すぎるからだ。
しかし、実際の物語はユーモアと機知に富んでいて、知らない人が想像するような、
SF特有の無機質で、知識の無い人間を締め出すかのような厳しさは一切感じなかった。
内容について語りたいことは山ほどあるが、ネタバレにならない範囲で、一つだけ語らせて欲しい。
この本は宇宙での出来事と、主人公が宇宙に行くまでの過去の回想が交互に語られるのだが、
過去の回想が現在に追いついた時、つまり主人公が何故宇宙へ飛び立ったのかが分かった時、
そのシーンが、———すごく残酷で、とても良かった。
そして、何故SFに興味ない私でもこの本が楽しめるのか、の理由の一つが分かった。
この本は舞台のスケールは巨大だが(宇宙なので)、物語は終始一人称視点なのだ。
つまり、主人公が見たこと、考えたこと、直面した困難、葛藤、喜び、
そういったものがダイレクトに自分にも伝わってくる感じがするのだ。
感想は以上。とにかく、この本に出会えてよかった。
読んでない人には是非読んでほしい。
あとこの本でSFの面白さを知ったので、次は『三体』とか読んでみようと思う。