俺には勉強しかない

140字のその先

「それ以上落ちると二度と這い上がれなくなる」ラインについて(読書メモ: 菅下清広『今こそ「お金の教養」を身につけなさい 』)

投資の世界には「サポート・ライン(下値抵抗線)」という言葉がある。

「株価がそのラインを下回ると、もう上がってくることが出来ないライン」
という意味で使われている。

その対義語として、「レジスタント・ライン(上値抵抗線)」という言葉もあり、そちらは、
「株価がそのラインを越えると、それ以降の株価は昇り調子一本となるライン」
という意味だ。


2つとも、『今こそ「お金の教養」を身につけなさい 』という本を読んで初めて知った言葉なのだが、読んでて少し怖くなった。
というのも、「それ以上悪化するともう回復できないラインがある」というのは体感として知っていたからだ。




書籍内では、この「サポート・ライン」と「レジスタント・ライン」は人に対しても適用できる考えであり、

  • ストレスを酒やパチンコで発散するような人生は下降傾向にあり、やがて「サポート・ライン」を超えてしまうと、もうお金持ちになる事は出来ない
  • 反対に、人生を上昇気流に乗せてレジスタント・ラインを超えた人はお金持ちになれる
  • 人生を上昇気流に乗せるきっかけは人それぞれだが、貯金(※)は万人に対して有効

※「まずは年収1年分を貯める」とのこと

と書かれていて、自分にとって納得できる考えだと思った。


自分は「信用」と「健康」において、サポート・ラインを超えてしまったな、と思う経験がいくつかある。


人からの信用がある一定ラインを下回ると、その後にどれだけ頑張っても信用を取り戻すことが出来ない。
前職では凡ミスを繰り返して上司からの信用を失った後、色々工夫してミスを減らしても、
ついぞ退職まで上司からの締め付けは弱まらなかった。

一方、一度大きな信用を得た人は、その後に大きいミスをしても許される(信用が揺るがない)傾向にある。
「なんであんなにデカいやらかしをしたのに、あの先輩は上司に信頼されっぱなしなのだろう」と疑問に思ったことが何度かある。
今思うとそれは、その先輩はコツコツと信用を積み上げ、
信用が「レジスタント・ライン」を超えたから上司からの信用が下がらなくなったのだろう。


健康もそうだ。例えば、一度うつ病を患ってしまうと、「うつになる前」の健康状態を取り戻すことは難しい。
自分は幸いうつにはなっていないが、前職を辞めてから普通に活動できる元気を取り戻すのに数ヶ月を要した。


あまり考えたくないが、「愛情」もそうだろう。
これ以上裏切られたら愛せなくなる、というラインは、目には見えないが、確実に存在する。


お金にしても、信用にしても、健康にしても、それらは全て有限なリソースであることは子供でも知ってる。
しかし、それ以上下がると上がって来れなくなるラインがある事を
意識出来ている人は、意外と少ないかもしれない。
どちらかというと、リソース(特にお金)に乏しい人達に限ってサポート・ラインを意識せずに
リソースを限界まで使い込む傾向がある気がする。

信用や健康のサポート・ラインを具体的な数値で割り出すことは難しいと思うが、
少なくとも「下回ってはいけないラインが存在する」と意識するだけで、不測の事態を避けやすくなるのではと思った。


中々面白い本なので、下の記事読んで面白いと思ったら、読んでみて損は無いです。
toshukou.at.webry.info


余談だが、「サポート・ライン」や「売り気配」などの証券用語を人に対して使うのは、あまり品の良いことではないと思う。
何故なら会社は経営が悪化すれば倒産できるが、人はどれだけ生活がうまくいかなかろうが絶対に倒産(=自死)してはならないからだ。

なので、この記事の結論は「自分を大切にしてください」というありきたりなものにしたい。


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