「サルコペニア」と「フレイル」 老人の2つの健康問題について(読書メモ:白央篤司『自炊力 料理以前の食生活改善スキル (光文社新書)』)
本格的に自炊を習慣化してみたくて、『自炊力 料理以前の食生活改善スキル (光文社新書)』を読んでいる。
内容はとても面白く実用的なのだが、話の本筋と直接関係のないところで
「サルコペニア」と「フレイル」という今まで聞いたことのない単語が2つ出てきたので、調べてみた。
「サルコペニア」と「フレイル」とは?
高齢者の健康問題に関連する単語。
サルコペニアは筋力量が大きく減ってしまうこと、
フレイルは筋力が落ちて日常生活に支障が出る程運動機能が低下し、
それに伴って気力も落ちてしまう現象のこと。
サルコペニア
下のページを見ると、握力と歩くスピードを基準に診断されるようだ。
関連ワードとして「ロモコ」という歩行機能に支障をきたした状態を示す単語もある。
www.tyojyu.or.jp
フレイル
サルコペニアが身体機能の異常を示す単語の一方、フレイルが示す概念はもう少し広い。
健康状態と要介護状態の中間にある、精神的、身体的、社会的に虚弱な状態をフレイルと呼ぶ。
activesenior-f-and-n.com
高齢者の健康問題はいかにして起こるか
書籍内で紹介されていた、高齢者の健康問題が起こるプロセスは次の通りである。
食欲と運動量が減って足腰が弱まる
↓
歩かなくなり筋力量が大きく減少する(サルコペニア)
↓
筋力低下によって運動機能が低下し、その結果気力が落ちる(フレイル)
上記の通り、サルコペニアとフレイルは独立した概念だが、密接に関連している。
筋力が衰えて歩くのが困難になると、精神的に塞ぎ込みがちになる。
そして、精神的に塞ぎ込みがちになると、外出しないので社会的に孤立してしまう。
そして社会的に孤立すると歩かなくなるので、より筋力が衰え…
という負のサイクルが形成されてしまう。
私がこれを読んで思ったのが、「これって高齢者じゃなくても起こるんじゃない?」という事だ。
20代〜60代でも、仕事のストレスなどで食事量と運動量が減って、
休日はぐったりして何もできないって状態は普通に発生してると思う。
対象が高齢者ではなく要介護でもないというだけで、
この状態は広義のサルコペニアとフレイルと呼べるのではないだろうか?
予防法:しっかり食べよう!
無気力はまず食欲の低下、食事量の減少から始まるので、
日頃から毎食、ある程度の量のご飯を食べるのが重要なようだ。
本書でも書かれていたが、栄養バランスの取れた食事も大事だが、
それと同じくらい「食べたいものを食べたいときに食べる」ことも大切だ。
多少栄養が偏っていたとしても、自分が好きな食べ物を美味しく食べることで気力を養える。
「運動量=歩行量」と捉えてしまって良いのでは
食事と同じく大切なのが運動だが、自分は個人的に、「運動量」という言葉は良くないと思っている。
運動というとどうしてもスポーツやフィットネスを連想してしまうし、
運動が具体的に示す動きや強度が不明瞭だからだ。
なので、私は「運動量=歩行量」と捉えてしまい、
毎日どのくらいの時間や歩数を歩いたかを把握した方が、健康管理しやすいのではないかと考えている。
私自身は、毎日30分は必ず外を歩くようにしている。
フィットネス勢から見たら鼻で笑われる運動量かもしれないが、私にとって重要なのは
50年後も毎日30分以上歩き続けていることだ。バカでかいバーベルを持ち上げることではなく。
おわりに
面白い本なので、引き続き読んで実践できるところから実践していきたい。
まずはカップスープと冷凍のほうれん草を買って、
ほうれん草をスープの中に入れてお湯をそそいでみたいと思う。
私たちは1日に2600回以上スマホを触る。スマホ依存にまつわるデータあれこれ(読書メモ:『スマホ脳』)
『テクノロジーのできることを利用しなさい。 何ができるかを学びなさい。 でも同時に、それが 「私たちに何を行っているか?」を問いなさい。 私たちはゆっくり適切なバランスを見つけ出すだろう。だが、それにはかなり時間がかかるだろう。』
———シェリー・タークル
『スマホ脳』を読了した。
在宅勤務の場合、オフィスへ出勤する時以上にスマホを触る欲求を我慢する必要がある。
たとえ業務中にTwitterを見ていようが、誰もそれを咎めることが出来ないからだ。
実際、自分は業務中もついスマホをいじっちゃう時が結構ある。
流石に仕事中はスマホとかネットから離れたいなと前から思っていた。
スマホを触る欲求を封じるためには、まずはスマホの危険性について知ることが有効だと思って、この本を読み始めた。
この本の結論は1ページ目に書いてある通り「人間の脳はスマホに適応していない」ということだ。
「スマホによって脳が変形する」という内容ではなかった。
人は何故スマホに夢中になるのか、スマホは人間にどのような影響を及ぼすのか、
スマホの悪影響から逃れるためにはどうすればいいのか、 について分かりやすく書かれており、読む価値がある本だと思った。
個人的には、これに併せて「男子劣化社会」を読むことも勧めたい。
そうすると、スマホとネット、それぞれは与える悪影響について理解が深まると思う。
感想はここまでで、内容についてだが、要約や解説が必要なほどこの本のテーマは難しくない。
スマホに依存性があり、スマホを使っている時の自分が碌でもないことくらい、
わざわざスタンフォード大の研究結果を読まずとも、我々は経験から知り尽くしているからだ。
それでも、この本に出てくるスマホや、スマホ依存に関するデータは衝撃だった。
今回はそれらのデータをいくつか紹介したいと思う。
これを見るだけでも、スマホが我々に与えるインパクトの大きさが分かると思う。
弱者男性の抜け出し方(読書メモ:『男子劣化社会』)
『親たちはかつてティーンエイジャーの我が子がセックスをしているのではないかと心配した。 今、彼らは我が子がセックスをしていないのではないかと心配し始めている。』
———へレン・ランビロー、「ザ・タイムズ」紙
『男子劣化社会』(晶文社)を読了した。
感想としては、素晴らしい本だった。
30手前にして彼女も作らずに昼夜問わずインターネットをしている
弱者男性(=劣化した男性)の当事者としては、身につまされる内容だった。
この本は
- 第I部:男がどのように劣化したか
- 第Ⅱ部:なぜ男が劣化したか
- 第Ⅲ部:男の劣化を食い止めるにはどうすればいいか
の3部構成になっている。
各章の論理構成、ミクロ/マクロ両方の視点からの分析は非常に緻密で、
とても1つの感想記事に収まる分量ではないため、
当記事では(自戒の意味も込めて)第Ⅲ部の「男の劣化を食い止めるにはどうすればいいか」の内容について取り上げたいと思う。
また、第3部は政府/学校/両親/男たち/女性/メディア、と行動主体ごとに章立てがなされているが、
当記事では「男の劣化を食い止めるために、男たちにできること」についてのみ言及する。
- 弱者男性とは
- 弱者男性の抜け出し方①:ポルノを見るのをやめる
- 弱者男性の抜け出し方②:時間の使い方を見直す
- 弱者男性の抜け出し方③:スポーツをはじめる
- 弱者男性の抜け出し方④:ベッドメイキングをする
- 弱者男性の抜け出し方⑤:自分のやりたい事を見つける
- 弱者男性の抜け出し方⑥:女友達を作る
- 弱者男性の抜け出し方⑦:女性を「ふしだらな女」と罵らない
- 弱者男性の抜け出し方⑧:メンターを見つける
- 弱者男性の抜け出し方⑨:選挙に行く
- おわりに
日常が楽になるシステマ・マスターの格言(読書メモ: 北川貴英 『やわらかな頭、もっと動ける身体のための!最強のリラックス―システマ・リラクゼーション』)
『敵は最良の教師である』
———ダライ・ラマ
職場でクレーマーにしつこく詰られる。歯医者へ行く。パートナーと言い争いになる。会社の存続をかけた商談に臨む。交通事故に遭う。etc...
我々は戦場にいなくても、日常的に精神的、身体的な危機と、それに伴う緊張に晒されている。
一方、そのような危機に対処するための体系化された技術を学ぶ機会は、一般人には殆ど無い。
そのような技術を学ぶ手段として有効なのは、武術を習うことだろう。
武術は、「相手が自分に襲い掛かる」という、考えうる中で最大の危機への対処法だからである。
システマとは、ロシア発祥の武術である。
徹底した脱力と、多人数、武器相手など実戦を想定した技に特徴がある。
私はシステムエンジニアで、納期が厳しいのに中々バグが取れない時などに強い緊張を覚えがちなので、
そういう時でもパニックにならずに、冷静に落ち着きを取り戻す方法を知るために、
『やわらかな頭、もっと動ける身体のための!最強のリラックス―システマ・リラクゼーション』を読み始めた。
勿論、システマの技法自体は本を読んだだけですぐに出来るようにはならないが、
書籍内に載っていたシステマ・マスターの格言の中に、
武術の枠を超えて、日常生活の中でも活用できる素晴らしい考えが多数載っていたので、
当記事ではその一部を紹介する。