俺には勉強しかない

140字のその先

中小SIer企業で正社員として働く事のリスク

前回のエントリーの続き。

 

引き続き、無料のプログラミングスクールの利用を考えている方へ向けての記事です。

前回説明した通り、プログラミングスクールでの研修後は、主に中小SIer企業の求人が紹介されます。そして、中小SIer企業で働くのはそれなりにしんどい事も説明しました。

 

今回は、自分が体験した範囲で、中小SIer企業で働く事のリスクを書いていきます。

前回の記事と内容か被る箇所も多いですが、キャリア選択をする際は、選択に伴うリスクを熟知した方が良いと自分は考えています。

何の仕事をするかは、人生において大事な決断ですからね...

なお、あくまで自分が体験した話であり、中小SIer企業で働く人全員がこうなる、と言っている訳ではないので、悪しからず。元気に働いている人もいます。少ないですが。  

  

人間関係を失うリスク

中小SIerでの勤務は長時間労働になりやすい傾向にあります。色々な原因がありますが、「納期が短い」「人手が足りない」「トラブルが発生しやすい」のが主な要因です。

新入社員だから早く帰して貰えるという配慮はなく、下手すると入社初日から炎上案件にぶっ込まれて、気づいたら22時が定時になってるという事はあり得ます。

最初は忙しくても、たまにある友人や家族との交流や、恋人とのデートの時には「元気に振舞う」事が出来ます。しかし、月100時間以上の残業が数ヶ月続くと、やがて「元気に振舞うための元気」が無くなってくるのです。

 

そして疲労によって、対人関係の中で生まれる小さなストレスが耐えられないものになっていきます。

友人のデリカシーの無い発言や家族の小言、恋人とのいざこざが強い苦痛を伴うようになります。そうなると、相手を攻撃するか拒絶するか、いずれかの行動を取るようになります。どちらを取っても、行き着く先は孤独です。孤独はさらに孤独を加速させます。

 

健康を損なうリスク

デスクワークとハードワークの掛け合わせは最悪です。8時間以上じっと椅子に座るというのは、心と体両方に無視できない負担を強います。

 

多くのエンジニアがまず最初にやられるのはメンタルです。客先という環境は決してリラックスしやすい環境ではありません。プロパー社員の目もありますし、上司と一緒に作業する事も結構ありますからね。

仕事内容も、常に神経を使う作業が多いです。何故ならミスもスケジュール遅れも許されないからです。

  

例えばミスをした際は、「何故そのようなミスをしたのか」「今後ミスを防ぐためにどのような対策を取るのか」を説明する責任が発生します。そして、いつ、誰が、どのようなミスをしたかは、故障処理表、バグ管理票、レビュー指摘表に全て記載されます。ミスを防ぐためには必要な取り組みですが、そこに記載される人間としては吊し上げを食らってるも同然です。

誰がどんなミスをしたかを、一緒に働いている人間全員に知られるのです。それを恐れて、エンジニアは神経を張り詰めながら仕事をしています。

 

また、エンジニアには「スケジュール通りに作業を終わらせる」事を求められます。予定工数内に作業が終わらなかった場合、「何故進捗が遅れているのか」「遅れをどうやって取り戻すのか」を説明しなければなりません。納期を後ろに動かせない以上、遅れは絶対に許されないのです。そのため、エンジニアはスケジュールに間に合わせるために、あるいは進捗遅れを取り戻すために、馬車馬のごとく働いています。

 

ミスも遅れも許されない、そんな仕事を長時間続けている内に、エンジニアは精神をすり減らしていきます。そうすると、朝起きれなくなったり、業務中ボーっとするようになり、酷い時はうつ病を発症してしまいます。

 

また、エンジニアが不調を抱えやすい体の部位があります。目と腰です。

 

エンジニアは業務中かなりの時間モニターを凝視しています。長時間明るいモニターを近い距離で凝視していると、視力低下、ドライアイ、飛蚊症緑内障などの発症リスクが高まります(自分も飛蚊症になりました)。

また、プレッシャーによる緊張状態や、うつ病などにより自律神経の働きが乱れると、瞳孔の調節がうまくいかなくなり、瞳孔が開いた状態で光を多く目の奥に浴びてしまう事になります。そうすると、目の不調をより悪化させる事になります。

 

また、エンジニアは腰を痛めやすいです。客先の椅子も固いものが多いですし、長時間椅子に座っていると猫背ぎみになり(余談ですが、仕事のできるエンジニアは姿勢が良い人が多い気がします)、腰に余計な負担がかかります。それが長期間続くと、腰痛などを発症する原因となります。

腰痛やヘルニアなどの腰の不調が厄介なのは、発症してから治療しても中々改善しない事です。整体に行っても中々治癒しないケースが多いです。幸い自分は発症していないので分かりませんが、恐らくパフォーマンスにも悪い影響を与えるでしょう。

 

そして、長時間労働は、必然的に運動不足と睡眠不足を引き起こします。これら2つが心身に悪影響を与える事は、誰でも想像出来るでしょう。

 

転職できないリスク

例えばあなたが中小SIerに入社したは良いものの、長時間労働と仕事のきつさに嫌気がさして、転職活動を始める事になったとしましょう。勤続年数は3年で、今の会社より良い待遇のSIer、またはイケイケのWeb系企業に行きたいとします。果たして転職は成功するでしょうか?

勿論、人によってスキルも経歴も異なるので一概に言う事は出来ませんが、一つ確実に言える事は「勤続年数が長ければ転職出来る訳ではない」という事です。

理由を説明します。

 

勤続年数≠実務経験

例えば、勤続年数三年のあなたが参画したプロジェクトが以下の通りだったとします。

 

プロジェクトA

言語:Java 参画期間:4ヶ月 担当工程:テスト

プロジェクトB

言語:PHP 参画期間:8ヶ月 担当工程:製造、テスト

プロジェクトC

言語:COBOL 参画期間:24ヶ月 担当工程:運用/保守

 

この場合、転職先、あるいは客先の人事はあなたを「PHPの実務経験1年未満のエンジニア」と評価します。そうすると、例えPHPでコードをゴリゴリと書ける企業に転職したいと思っても、実務経験の不足がネックとなり、中々転職が厳しくなって来るのです。

 

年齢が上がるにつれて求められるスキルの水準が上がる 

当然ですが、年齢と共に、要求される開発スキルは上がっていきます。

また、開発スキルの他に、上流工程やプロジェクト管理の経験やスキルを求められる機会が増えていきます。

もし開発やテスト、運用保守しか経験していないと、転職市場で求められるスキルレベルに届かずに、採用してもらえなかったり、年収が下がってしまうリスクが生じます。

 

能動的に学習しなければスキルは身に付かない 

あくまで僕のいた会社の話ですが、会社にいた勤続年数が長い先輩たちは、決して技術力は高くありませんでした。自分の方が良いコードを書いてるんじゃないか?と思う事も多々ありました。エンジニアとして長く働いていれば技術力が上がるという訳ではない事を、その時痛感しました。

 

先輩たちは、技術力を身に着けるのではなく、ストレスに対する感覚を麻痺させる事で、中小SIerでの過酷な労働環境に適応している様に僕には見えました。

それはそれで一つの進化(?)かもしれませんが、ああいう風にはなりたくないな、とよく思っていました。はっきり言ってゾンビみたいなものです。先輩たちは、彼女もいない、気力もない、お世辞にも幸せそうに見えなかったのです。

 

終わりに

今まで説明した通り、エンジニアとして働くのは時として過酷です。

ですから、これからプログラミングを学習してエンジニアになりたいという方には、是非今まで説明したリスクを念頭において、将来のキャリアパスを明確にする事を推奨します。

そして、出来るだけ従業員数の多い会社にいく事をお勧めします。自分は、仕事のきつさは従業員数とある程度反比例すると思っています。それに、人数が多ければ多いほど、この人みたいになりたい!と思える優秀なエンジニアに出会える可能性が増すでしょうから…

 

以上です。

ここまで読んで下さりありがとうございました。