俺には勉強しかない

140字のその先

中小SIerで働くのは何故しんどいのか

前回のエントリーの続き。

 

引き続き、無料のプログラミングスクールを経由しての、エンジニア転職を目指す方へ向けての記事です。

今回は、中小SIer企業で働く事は何故しんどいのかについて、自分が経験した範囲で解説していきます。

プログラミングスクールを卒業すると、就職先は中小SIer企業となる可能性が高いので、就職後のきつさを知ってから改めて入校を検討して頂ければと思います。

なお 、あくまで自分がいた会社での話であり、全ての中小SIerに当てはまるとは限らないので、その辺はご了承下さい。

 

 

 

「業務で必要なスキルを教えてくれない」

中小SIer企業に入社しても、プログラミングや設計書の書き方、客先での適切な振る舞いを指導される事はありません。研修も殆どありませんし(無料プログラミングスクールに求人出してる企業なら尚更)、OJTと銘打っていても、上司や先輩が仕事の進め方や必要な知識を手取り足取り教えてくれる事は絶対にありません。

 

スキルアップは基本的に自分任せです。何故なら仕事場が客先企業だからです。 

新入りだろうとベテランだろうと、「プロ」として客先に送り出されています。そのため、上司は初歩的な指導をする事が出来ません。

客先のプロパー社員に聞かれたりすると「あなた達プロを称してウチにやってきたのに、そんな低レベルな事知らないの?」と企業全体の信用を失う事になるからです。

 

そもそも客先はあくまで仕事の成果に対してお金を払っているのであって、パートナー企業の新入社員の研修費を負担している訳ではありません。

 

なので「デバッグってどうやるんですか?」「JavaJavaScriptってどう違うんですか?」なんて聞こうものなら上司にボコボコにされます(勿論プロパーが見てないところで)。「包丁を持つ時左手な猫の手にしてね…」「なんで塩じゃなくて砂糖入れた!?」とか厨房から聞こえてくる食堂で誰もご飯食べたくないでしょう。

 

また、会社で勉強会を催す事もありますが、僕自身はその効果には懐疑的です。

働いてて感じた事ですが、「良いサービスを提供出来るように改善していこう」という姿勢が業界全体で薄く、業界も、エンジニア自身も、「いかに問題を起こさずにうまくやり過ごすか」という短期的な思考しか持ち合わせてないように感じました。

そのため、勉強会をやっても誰も乗り気じゃなさそうでした。「勉強なんか一人でやれ」「プライベートに何故あいつらの顔見なきゃいけないんだ」「そんな事をするくらいなら家で寝てるか酒飲んでるわ」という顔を全員していました(僕もその一人でした)。

勿論、向上心の強いエンジニアもいるとは思いますが、そういう人はWeb系企業へ転職したり、フリーランスとして独立したりして、中小SIerには残らないじゃないかと思います。

  

人がいない

中小SIer企業は慢性的に人手不足です。こと「優秀な人材」となるともはや恒久的に不足してると言っても過言ではないでしょう。人手不足という事は、一人当たりに課される負担が大きい事を意味します。新入社員だろうとスキル不足だろうとあまり関係ありません。 

中小SIerが人手不足の原因として、以下の理由が挙げられます。

 

・優秀な人は、自分のやりたい事が出来る企業や、条件が良い企業へ転職出来ると判断したら、すぐ辞めます。 

・優秀じゃない人も、ミスをして仕事を余計に増やして、過労で心身を病んでいきます。我慢できるだけ我慢して、限界が来たら辞めます。

・業界の悪い噂は嫌という程流れているので、訳アリの人達以外は寄り付きません。優秀な人材となれば尚更です。

 

優秀な人と優秀じゃない人に共通しているのは、「ある日突然辞める」という事です。私がいた1年8ヶ月の間に10人近く辞めていきましたが、菓子折り持って円満退職したケースは一度も見た事がありませんでした。

 

ミスが許されない

あなたが入社したばかりの新米だろうと、五年選手だろうと、「プロ」として現場に送りだされます。新米だからといって、進捗の遅れも、仕事のミスも許されません。派遣元に許す義理が無いからです。そして、派遣元が許さない以上、当然上司も許しません。

ミスをした、または進捗遅れが生じた場合、「何故ミスをしたのか」「今後どのようにしてミスの再発を防ぐのか」「進捗遅れをどうリカバリするのか」について、論理的な説明が求められます。スキルの不足している新人には結構きつい瞬間です。

 

人間関係が悪い

中小SIerで仕事を続けていると、理不尽な仕打ち、失敗と上司からの叱咤を受けていく内に、少なからず人間性が腐っていきます。そのため、会社に残っている上司や先輩たちの性格が悪い事が多々あります。入社当時は良い人でも、働いていく内に性格が腐ってくか、体調を崩して辞めてしまいます。

 

そして、誰かが大きな障害を起こしたり、スキル不足でスケジュールを遅らせたりすると、「あいつのせいで帰れない」というギスギスした敵対感情がメンバー間で生まれます。

そういう時に槍玉に上げられやすいのは、スキルの低い人や新人です。

 

また、中小SIerはすぐ社員が辞めていくので、社内で良好な人間関係を築いていこうという意識が薄いと感じました。

新人が入社しても誰も挨拶しない、という会社もあったりするのですが(自分の会社はそうでした)、今思えば「どうせこいつも辞めてくんだろうな・・・」という諦念があったのかもしれません。

 

終わりに 

自分は、就職して三年ほど経験を積んでから、転職、もしくはフリーランスとして独立する事を前提に中小SIerに入社しました。

当時は「SES」という言葉も業務形態も知りませんでしたが、「IT業界はヤバい」「中小企業で働くのは大変」というイメージは持っていました。

そのため、実務経験とスキルを身に着けて、サッサと脱出してやろうと目論んでいました。どんなキツい仕事も、どんな辛い環境も、「期限付き」と分かっていれば耐えられるだろう、そう考えていました。

 

結果を言えば、自分は入社した会社を1年8ヶ月で辞め、当初の目標だった「三年は粘る」は達成出来ませんでした。

僕の根性が無かったと言ってしまえばそれまでですが、「IT企業はキツイ」という前知識と、「三年は耐える」という覚悟を持っていいても、耐える事が出来なかったのも事実です。

そのため、当時の僕のように「三年くらい耐えて転職したろww」と考えている人がいたら、以下の事を心に留めておいて欲しいのです。

 

・「必要なスキルは、誰かが手取り足取り教えてくれる。働いてれば自然と身に付く」という思い込みは捨てた方が良い事

・客先常駐の場合、「新人」として扱ってくれる事はほとんど無い事

・しんどいと分かっていても、やっぱりしんどい事

 

以上です。

ここまで読んで下さりありがとうございました。