無料プログラミングスクールへの入校を考えている方へ
悪口エントリーではありません。無料プログラミングスクールを利用しての就業を考えてる方に向けての記事です。入校を考えてる人が知りたいだろうなという情報を、自分が経験した範囲でつらつらと記していきます。
あくまで自分が入った時期の、自分が入ったスクールの話なので、世の全てのスクールがこうだ!と言っている訳ではないので、悪しからず。
自己紹介
ProEngineerというプログラミングスクールにて三ヵ月のJava研修を受けた後、中小SIer企業に就職。1年8ヵ月で音を上げて退職。求職中。
本当に就職出来るの?
真面目に通っていれば、間違いなく出来ます。自分の同期は最後まで残った人達は全員就職してました。選考では適性検査などもありますし、2~3回ある面接でもいくつか技術的な質問もされますが、「この人絶対エンジニア向いてないだろ」っていう出来ない人でも就職出来てました(その後どうなったかは知りませんが)。
就職先として紹介されるのはどんな企業?
100%中小企業(従業員数300人以下)で、その内60%は零細企業(従業員数30人以下)です。スクールのサイトの紹介企業一覧には有名企業のロゴが沢山並んでたのに、有名企業一つもないじゃん!と思ったのを覚えてます。自社開発をやってる会社は1%程度で、後は全部SES企業です(SESが何か分からない方は是非ググって下さい)。
提示される給料は?
どの求人も基本給20万前後でした。一番高い求人で23万だった憶えがあります。自分の場合、残業+ボーナス(一ヶ月)×2も合わせて年収は350万くらいでしたね。
スキルは身に付く?
「IT業界で働く上で役に立つ知識が身に付いたか」という意味では、部分的にYES、
「現場で求められるスキルを三ヵ月で習得する事が出来るか」という意味であれば、NO です。
1つずつ説明します。
「IT業界で働く上で役に立つ知識が身に付いたか」
Javaの基本構文、オブジェクト指向、HTML/CSS、MVCモデル等、最低限知っていなければならない基本知識は"ある程度"身に付ける事が出来ました。
しかし、アルゴリズムとデータ構造、OSの仕組み等のコンピュータサイエンス寄りの知識、HTTP等のプロトコルに関する知識、公開鍵暗号などセキュリティに関する知識は、研修では取り扱いませんでした。
特に、HTTPとセキュリティについて一切教えずに、WEBエンジニアとしてIT業界に送り出すのはいかがなものか、と個人的には思います。
IT業界で働く上で必要な知識については、下の記事がよくまとまってます。
「現場で求められるスキルを三ヵ月で習得する事が出来るか」
間違いなくNOです。一言でJavaと言っても、Spring等のフレームワーク、ビルドツール、Linuxコマンドライン操作、DB周りの知識等、Javaを使う現場で要求される知識やスキルはJavaそのものだけに留まりません。そしてそれらを三ヵ月で網羅するのは到底不可能で、真面目に取り組んでも最低2年はかかるんじゃないかと思います。現場で求められるスキルについては、以下の記事がよくまとまっています。
何より、プログラミングスクールでは社会人として要求されるスキルが殆ど身に付きません。「エンジニア」と言っても結局はサラリーマンで、技術面でのスキルよりも、相手の立場に合わせて適切な言葉や振る舞いをする能力、分かりやすい説明をする/文章を書く能力、時間をキチンと守る、自分の仕事の進捗を管理する能力等の方が重要だったりします(あくまでSES企業での話です)。
研修の内容は?
最初の一ヶ月間はJavaの基本構文、オフジェクト志向、カプセル化、ポリモーフィズム等のプログラミング基礎講義を学びました。HTMLとCSSについての講義も多少あった覚えがあります。その他、Linuxのコマンドライン操作やSQLについての講義もありましたが、サラッと触る程度であまり時間をかけていませんでした。
残りの二ヶ月間は、生徒同士でチームを組んでECサイトの構築を行いました。フレームワークはStruts2というやや時代遅れなフレームワークを指定されました。スケジュール管理、各メンバーの担当機能振り分けは全部生徒任せで、講師側から指導やアドバイスはありませんでした(毎朝のリーダーによる進捗報告の時間はありましたが)。ようするに放置です。分からない事があった場合は、生徒が自分から先生に質問しにいくスタイルです。
この時期から生徒間でのスキルややる気の差が顕著になり、やる気のない人、ついていけてない人は次第に脱落していきます。自分の同期は入校時に40名いましたが、脱落者は15名ほどいました。
最後の一ヶ月は、エージェントとの話し合いや面談の練習も並行して行います。面談の練習は結構厳しく、よく聞かれる質問100選全てに対する回答を用意する必要がありました。
どんな人が通ってる?
24歳前後が70%くらい占めてました。最年長は28歳、最年少は18歳でした。同期全員の経歴を把握してた訳ではないですが、前の会社を数か月で辞めた人、大学中退、ニート、フリーター等、"訳アリ"の人が殆どでしたね。学歴は大卒が五割くらい、後は大学中退が2割、高卒が2.5割程度だったと思います。中卒の人もいました(その人は人柄が良くて真面目で、ちゃんと就職出来てました)。
モラトリアム人間というか、何処となく予備校生みたいな雰囲気を醸してる人が多かったです。あと、意外にも女性が多かったです。自分の同期には3割くらいいました。
スクールの雰囲気は?
一緒に受講する人達にも寄りますが、楽しいです。生徒の殆どが元々人生が終わってた人ですが、「社会復帰に向けて頑張るぜ!」という明るい展望みたいなのを全員で共有してる感じがありました。同期と一緒に飲みにいったり、生徒同士で喧嘩があったり(いい年した大人が何やってんだよ…)、恋愛沙汰もあったりしました。自分にとって第三の青春という感じでしたw ただ、プログラミングが苦痛、生活習慣が崩壊してる、授業そっちのけでバイトに精を出す等の理由で、途中で脱落する人も結構いました。
終わりに
経歴にキズがあるけど、スクールで助走をつけてからIT業界で働きたいという方は入校してみてもいいんじゃないでしょうか。「自分には向いてないな」って分かって途中で辞めても金銭的な痛手はないし(違約金取るとこもあるそうです)、自分の不得意なことを知るというのも一つの立派な収穫だと思います。ただし、入校する前に以下の事は是非心に止めておいて欲しいです。
・プログラミングスクールが紹介する企業の殆どが中小~零細のSES企業であり、大企業への就職は難しい事
・三ヵ月程度の研修で業務に必要な技術力を身に付けるのは難しい事
以上です。ここまで読んで下さりありがとうございました。